月刊たるさんの記事

(Web全体に公開)

私たちの世界 ー 文/川嶋舟

2018年 04月27日 15:31

 例年より早く桜が咲きはじめ、夏日も早々に来た今年はどのような夏となるのか楽しみです。稲をはじめとする様々な作物が育ちやすい天候となることを願うばかりです。植物は成長をする場所を短期間で移ることが難しいため、育ち始めた環境の中に生きなければなりません。一方、私たちをはじめ、移動する能力をもつ動物であっても、自らの生きる環境を自由に選ぶことはかないません。
 日々の生活の中で、自分自身がどのような世界観の中に生きているかは意識しにくいです。自身の生きる環境が全てであると思い込みやすく、それとは異なる世界で生きる人を想像することは容易なことではありません。インターネットなどをはじめとする様々な情報機器の発達によって、いつでも遠く離れた情報を知ることができることから、私たちは時間と距離の制限のない広い世界にいるように感じやすくなりました。
 しかし、この広がりのある世界と実際の生活の世界が一致していることは稀です。物理的につながる世界と普段の生活で意識しやすい世界の範囲は異なります。自分が極めて限られた世界の中で生きていることを自覚していません。
 ネットゲーム等仮想空間での交流も可能な現代は、現実の世界と意識の世界の大きさに今までにないギャップが生じています。私たちはグローバルな世界で生きているようで、実は非常にローカルな世界で生かされています。
 私たちが意識しやすい世界は自分自身が生活をする環境に密接に関連している限定された世界であり、様々な情報でつながるように見える大きく広い全世界の事まで考えて生きるには努力が必要です。自らに関係する出来事の多くは、自分が関係のある世界を基準とし捉え対応します。自身の生きる世界が標準的なものであると思い込み易く、周りの世界の普遍的な事実であっても知らないことは異質に感じ易く受け入れ難いものです。グローバル化が進む現実とローカルな意識の中の世界観に違いが生まれ、私たちに混乱をもたらしています。
 自分自身の生きる世界を知らないままに他の広い世界を受け入れることは容易ではありません。異質な存在が多くある世界を受けいれるためには、自己を充分に理解しておくことが必要です。
 この春から新しい世界の中に足を踏み入れる方におられるでしょう。今まで生きてきた狭い世界から大きく広い世界に踏み出すことで、気付くことなく束縛されてきた狭い世界の価値観から抜け出すことができ、新たな生き方を見い出せるでしょう。

シリーズ「お酒と福祉の醸す日々」・「酒米と福祉」

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