月刊たるさんの記事

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気づき ー 文/川嶋舟

2018年 02月01日 14:28

 寒い日が続く中、春の兆しを感じ取ることができる季節になりました。豊かな自然の中で生きる動植物は、常に変化する環境に対応して命をつないでいます。これから起こる出来事について事前に分かることは少なく、わずかな違いを察知しそれに対して一つ一つ調整をしながら生きています。
 私たちも自然や社会の変化を受け入れながら生きなければなりませんが、自然科学の発展による恩恵もあり、自然界に生きる動植物たちよりはるかに安定した条件の中で生活をしています。そのような変化の少ない環境で生きている事により、私たちは本来持っているはずの「気づき」の力を充分に発揮しにくくなっているように思います。
 周りの変化に気が付きそれに応じた手段を選択する力、すなわち「気づき」の能力を持つことは、自分自身が生きながらえるためだけに必要なものではありません。自らが快適な環境に居続けられるようにするためだけではなく、自分の周辺にいる人との関係を良好にするためにも不可欠な力となります。常に同じであることのない他人や社会、環境の変化について速やかに気づけることは、他者や社会のことを理解することにつながり、円滑な人間関係や社会関係に築けるようになるのみでなく、相手との関わり合いを経て自身の成長を促すものでもあるように思います。
 私たち自身の持つ殻の周りに存在する物や事が見えるようになると、自分以外の物ごとについて様々な「気づき」を得やすくなります。他の人のことに気が付けるようになることは、他者の理解し易くなるだけでなく相手の気持ちを想像できるようになり、初めて他人の存在が身近となります。「気づき」のない生き方は、自分しか見えていない世界であり、結果的に思いやりの少ない私たちにとっては生きにくい社会となってしまいます。
 急激な速さで変わりつつある社会や環境について、私たちは今まで以上に敏感に様々な変化に気付かなければならない状況にあります。変わり方がどのようなものであるかを見極め、その変化をそのまま享受するか否かについて対応方法を含めしっかりと考え判断する必要があります。
 近代化とともに変化することをあまり好まなくなってしまった我々にとっては、「気づき」の能力をもう一度花開かせることで、身の回りのことを受け止めやすくなり、結果として、自分自身を守るだけでなく他者を理解し想いやることができるようになり、誰にも優しい社会を創ることにつながるものと感じています。


シリーズ「お酒と福祉の醸す日々」・「酒米と福祉」

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